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愛知の介護施設がAIで記録・ケアプランを効率化する方法|生産性向上推進体制加算も解説

公開:2026/07/04読了目安 約8分執筆:株式会社UniGain
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介護施設の記録業務は、音声入力AIとケアプラン作成支援AIで「話すだけ・下書きを直すだけ」に変えられます。2024年度に新設された生産性向上推進体制加算は、2026年6月の臨時改定で処遇改善加算の上乗せ要件にも組み込まれ、記録ICTの導入が加算と賃上げ財源の両方につながるようになりました。本記事では、愛知・名古屋の介護施設に向けて、記録・ケアプラン・申し送りのAI化の方法、加算の要件、愛知県の補助金と相談先、個人情報の注意点までを解説します。

介護施設の記録業務はどこまでAIで効率化できる?

介護現場の書き仕事は、①日々の介護記録(バイタル・食事・排泄・入浴など)、②ケアプランと課題分析(アセスメント)、③申し送り・日報、④LIFE(科学的介護情報システム)への提出データ、の4つに整理できます。AIで効率化できるのは主に「入力」と「下書き」の部分で、利用者の状態を見立てる専門職の判断そのものは人に残ります。

実際の支援現場でよくあるのは、日中はケアに追われて記録が後回しになり、夕方にメモや記憶を頼りにまとめてパソコンへ転記しているケースです。残業の原因になるうえ、時間が経ってから書くため記録の正確さも落ちます。ケアの直後に話すだけで記録が残る音声入力AIは、この「転記」という工程を丸ごと消せるのが最大の価値です。

効率化の全体像は下表のとおりです。効果が出やすく現場の抵抗も少ないのは音声入力による介護記録のAI化で、次にケアプランの下書き、申し送りの自動要約へと広げていくのが定石です。見守りセンサーやシフト作成の自動化など周辺領域もありますが、まずは毎日必ず発生する記録業務から着手するのが投資対効果の面でも確実です。

業務使う技術期待できる効果
日々の介護記録音声入力AI+介護記録ソフト転記作業をなくし記録を即時化
ケアプラン・課題分析生成AIによる下書き作成書類作成時間を大幅短縮
申し送り・日報AI要約引き継ぎ資料を自動生成
LIFE提出・加算管理記録ソフトのデータ連携提出作業の負担軽減と加算取得

介護記録は音声入力AIで「話すだけ」にできる

音声入力AIを使うと、ケアの直後にスマートフォンへ「昼食は主食10割、副食8割摂取。むせ込みなし」と話すだけで、AIがテキスト化して記録項目に整理してくれます。ハナストのような介護特化の音声入力サービスは、バイタルや褥瘡(じょくそう)といった介護・医療用語の認識に対応し、介護記録ソフトへそのまま記録を送れるのが強みです。パソコンの前に座る時間が減り、その分を利用者へのケアに充てられます。

導入の勘所は、最初から全フロアに広げないことです。フロア内の騒音下での認識精度、Wi-Fi環境、スマホ操作に不慣れな職員への教育など、現場ごとのつまずきどころは試してみないと分かりません。まず1フロア・1ユニットで2〜4週間試行し、よく使う文言の定型テンプレートを整えてから全体に展開すると定着しやすくなります。

記録がデジタルで正確に溜まると、LIFEへのデータ提出もスムーズになります。提出後のフィードバックをケアの見直しに使い、科学的介護推進体制加算などの取得につなげる好循環も狙えます。記録AIは単なる時短ではなく、加算とケアの質を支えるデータ基盤づくりでもあります。

ケアプラン・課題分析はAIで下書きを自動化する

ケアマネジャーの現場では、生成AIをカスタマイズしてケアプラン作成を効率化する実践が始まっています。たとえばGoogle Geminiの「Gem」機能に手順を指示しておき、介護保険の認定情報と基本情報(フェースシート)を読み込ませると、課題分析23項目の整理から居宅サービス計画書(1表・2表)の叩き台までを短時間で出力させる、という使い方です。これまで何時間もかかっていた書類の下書きが数分で用意できます。

ただし絶対に守るべき注意点があります。利用者の実名が入った書類を、そのまま個人向けの無料AIにアップロードしてはいけません。氏名や住所を伏せた(匿名化した)うえで、入力データがAIの学習に使われない法人向け環境(Gemini for Google Workspaceや法人契約のChatGPTなど)を使うのが原則です。施設として「入力してよい情報の範囲」を文書で決めてから運用を始めてください。

もう一つ大切なのは、AIの出力はあくまで叩き台だということです。アセスメントの最終判断、利用者・家族の意向の反映、多職種との調整はケアマネジャーと現場職員にしかできません。「AIが書いた計画」ではなく「AIに下書きさせた計画」として扱う。この違いを施設内で共有し、AIで浮いた時間を利用者と向き合う時間に戻すことが、本来の目的です。

生産性向上推進体制加算でAI・ICT導入が収入になる(2026年改定対応)

生産性向上推進体制加算は、2024年度の介護報酬改定で新設された加算で、テクノロジー活用と業務改善の体制づくりを評価するものです。区分は2つあり、(Ⅱ)が月10単位、(Ⅰ)が月100単位。施設系・居住系・短期入所・通所系など幅広いサービスが対象で、まず(Ⅱ)を算定してから(Ⅰ)への移行を目指す設計になっています。

(Ⅱ)の主な要件は、①見守り機器、②インカムなど職員間の連絡調整を速くするICT、③介護記録ソフトやスマートフォンなど記録業務を効率化するICT機器、のいずれか1つ以上の導入と、利用者の安全・ケアの質・職員の負担軽減を検討する委員会の開催です。(Ⅰ)では3種類すべての導入に加え、業務改善の実績データを提出する必要があります。音声入力AIや記録ソフトは③に該当するため、記録の効率化と加算取得を同時に狙えます。

2026年6月施行の介護報酬の臨時改定(処遇改善)で、この加算の重みが増しました。介護職員等処遇改善加算に上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が設けられ、施設系・居住系サービスでは生産性向上推進体制加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の取得が「令和8年度特例要件」になっています。訪問系・通所系ではケアプランデータ連携システムの利用が同じ位置づけです。記録ICTの導入は、加算単位だけでなく職員の賃上げ財源の確保にも直結するようになりました。

制度は次の見直しにも入っています。2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向け、社会保障審議会の介護給付費分科会は2026年8月28日の会合で「介護現場の生産性向上等の推進」を議題に取り上げ、9月30日には物価・賃金の上昇を報酬に反映する方針を含む「基本的な視点(案)」が示されました。改定率は12月末に公表される見込みです。テクノロジー活用の評価がどう変わるかは未確定のため、今は記録の電子化と委員会運営の実績を積んでおくのが堅実な備えです。

算定要件の細部はサービス種別や年度で変わるため、申請前に厚生労働省の通知と指定権者(愛知県・名古屋市など)の案内で最終確認してください。加算の単位数は小さく見えますが、「記録AIの導入費用の一部を制度が支えてくれる」と考えると、導入判断のハードルは確実に下がります。

区分単位数主な要件
加算(Ⅱ)月10単位見守り機器・連絡ICT・記録ICTのいずれか1つ以上+委員会開催
加算(Ⅰ)月100単位3種類すべての機器導入+業務改善の実績データ提出
処遇改善加算 Ⅰロ・Ⅱロ(2026年6月〜)上乗せ区分施設系・居住系は生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)の取得が特例要件

愛知・名古屋の介護施設が使える補助金と相談先は?

愛知県は「介護テクノロジー導入支援事業費補助金」で、県内の介護サービス事業所・施設(名古屋市内を含む)の機器導入を支援しています。令和8年度は補助率4/5、上限は1事業所あたり1,000万円で、パッケージ型導入支援の上限も前年度の500万円から1,000万円に引き上げられました。介護ソフト、インカム、見守り関連機器、介護テクノロジーと一緒に使うタブレット端末などが対象です。

注意したいのは申請時期です。令和8年度分は受付期間が7月31日〜8月31日で、受付はJグランツ(国の電子申請システム)のみでした。令和7年度は9月30日〜10月20日に追加募集が行われましたが、令和8年度の追加募集は10月下旬時点で公表が確認できません。追加募集や次年度の公募に備えるなら、記録業務の棚卸し、導入機器の候補、見積もりを先にそろえておくと、短い受付期間でも慌てずに申請できます。最新の要件は愛知県高齢福祉課のページで必ず確認してください。

機器選びや業務改善の進め方に迷ったら、県の「あいち介護生産性向上総合相談センター」(名古屋市中村区名駅南、介護労働安定センター愛知支部内)が無料の相談窓口になります。相談対応のほか、介護ロボット・ICT機器の試用貸出や研修会、専門家の伴走支援も行っています。名駅周辺の施設なら、展示や試用で実機に触れてから選べるのは大きな利点です。

愛知の介護施設がAI導入を始める手順と経営効果

介護施設の経営環境は厳しさを増しています。福祉医療機構(WAM)が通所介護4,735事業所の2023年度決算を分析した調査では、43.9%が赤字で、赤字事業所の利用率は黒字事業所より約10ポイント低いという結果でした。記録に取られている時間を、ケアの質の向上や稼働率を上げる取り組みに回せるかどうかが、経営の分かれ目になりつつあります。

導入の手順は、①記録業務の棚卸しで「誰が・何に・何分かけているか」を見える化する、②負担の大きい1業務を選んで音声入力AIや記録ソフトを試行する、③委員会と運用ルールを整えて生産性向上推進体制加算(Ⅱ)を申請する、④効果を測って横展開し(Ⅰ)を目指す、の4ステップです。ツール選びから始めるのではなく、業務の棚卸しから始めるのが失敗しないコツです。

UniGainは名古屋・名駅を拠点に、愛知県内の施設へは対面での伴走も可能です。AI導入支援は月10万円からで、記録ツールの選定、個人情報の運用ルールづくり、職員向けの研修まで、現場が使いこなせる状態になるまで一緒に進めます。Excel集計・資料作成の自動化で月40時間・年間約60万円を削減した支援実績もあり、詳細は事例ページで紹介しています。

よくある質問

Q生産性向上推進体制加算はいくら算定できますか?

加算(Ⅰ)が月100単位、加算(Ⅱ)が月10単位です。(Ⅱ)は見守り機器・連絡用ICT・記録用ICTのいずれか1つ以上の導入と委員会の開催が要件で、(Ⅰ)は3種類すべての導入と実績データの提出が必要です。まず(Ⅱ)から始めて(Ⅰ)へ移行するのが標準的な流れです。

Q利用者の個人情報を生成AIに入力しても大丈夫ですか?

実名のまま無料の生成AIに入力してはいけません。氏名・住所などを伏せて匿名化したうえで、入力内容が学習に使われない法人向け環境を使うのが原則です。施設として「入力してよい情報の範囲」を文書化し、研修などで職員全員に周知してから運用を始めてください。

Q小規模なデイサービスでもAI導入はできますか?

できます。スマートフォンと介護記録ソフト、音声入力サービスの組み合わせなら月数千円〜数万円程度から始められます。生産性向上推進体制加算(Ⅱ)は機器1種類の導入から算定でき、小規模事業所ほど記録の時短効果が職員1人あたりに大きく効くため、まず1業務からの試行をおすすめします。

Q愛知県の介護テクノロジー補助金の締切を過ぎた場合はどうすればよいですか?

県の高齢福祉課ページで追加募集の有無を確認しつつ、次年度の公募に向けて準備を進めます。令和7年度は10月に追加募集がありましたが、毎年行われるとは限りません。待つ間に記録業務の棚卸しと見積もり取得を済ませ、あいち介護生産性向上総合相談センターで機器を試用しておくと、公募開始後すぐに申請できます。