AI導入に補助金は使えます。2026年度は旧IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金2026」に再編され、生成AIを活用したツールが補助対象として明確化されました。ただし「ツール購入費」と「使いこなすための支援費・人件費」では扱いが異なります。この記事では、2026年10月時点で申請できる制度と締切、対象になる費用・ならない費用、名古屋・愛知の事業者が使える相談先、補助金を待たずに始める場合との比較と費用対効果の試算方法を解説します。金額・締切は公募回で変わるため、最新の公募要領をご確認ください。
AI導入に使える補助金の全体像|2026年度の4つの選択肢
中小企業がAI導入で検討できる制度は、大きく4つあります。①デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)、②新事業進出・ものづくり補助金(2026年度に旧ものづくり補助金と新事業進出補助金を統合)、③中小企業省力化投資補助金、④愛知県・名古屋市など自治体独自の補助金です。業務ソフトや生成AIツールの導入なら①、AIを組み込んだ設備や独自システムなら②③が候補になります。
どの制度も共通するのは、「AIを買うこと」ではなく「生産性向上という成果」に対して補助が出る点です。申請では、どの業務の、どの作業時間を、どれだけ減らすのかを数字で示す必要があります。逆に言えば、この試算ができていれば制度選びも申請も速くなります。試算方法は最後のセクションで具体的に説明します。
- デジタル化・AI導入補助金2026:登録済みITツール・生成AI活用ツールの導入(通常枠6次締切 2026年10月30日17時。以降は7次公募回)
- 新事業進出・ものづくり補助金:新製品・新事業に伴うAI活用や設備投資(第1回締切 2026年10月30日18時)
- 中小企業省力化投資補助金:カタログ注文型(登録製品から選択・随時受付)と一般型(オーダーメイド。第8回は2026年10月16日に締切済み、第9回は未公表)
- 自治体補助金:愛知県「中小企業デジタル化・DX促進補助金」、名古屋市「中小企業デジタル活用支援補助金」など(2026年度は受付終了)
| 制度 | 向いている投資 | 2026年10月29日時点の締切 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 登録済みの業務ソフト・生成AI活用ツール | 通常枠6次:10月30日17時(交付決定12月10日予定)。7次の締切は事務局が今後公表 |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 新事業・新製品に伴うAIシステムや設備 | 第1回:10月30日18時(採択発表は2027年1月頃予定) |
| 省力化投資補助金(一般型) | 現場に合わせた省力化設備・システム構築 | 第8回は10月16日17時に締切済み。第9回は未公表 |
| 省力化投資補助金(カタログ注文型) | 登録済みの省力化製品 | 随時受付 |
デジタル化・AI導入補助金2026の押さえどころ
2026年度の最大の変化は、制度名に「AI」が入り、生成AIを活用したシステムやAIエージェント(指示に基づき一連の作業を自動でこなすAI)が補助対象として明確化されたことです。名称は変わりましたが、申請枠の構成・補助率・対象経費の考え方といった骨格は旧IT導入補助金から概ね引き継がれています。
対象は、会計・受発注・顧客対応など業務プロセスの生産性向上に役立つITツールの導入費です。通常枠のほかインボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠があります。2026年度の締切は回ごとに分かれ、通常枠の6次締切が10月30日17時、その交付決定は12月10日の予定です。以降は7次公募回となり、事務局は2026年10月9日に、7次から1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の向上を申請要件に加えると告知しました。7次の締切日は公式サイトの事業スケジュールで確認してください。
枠選びでつまずく方は多いのですが、原則はシンプルです。「補助額が大きいから通常枠」ではなく「自社が今いちばん解決したい課題は何か」から逆算します。会計や在庫まで幅広く効率化したいなら通常枠、請求書まわりの対応が急務ならインボイス枠、守るべきデータが増えてきたならセキュリティ対策推進枠、というように、課題が決まれば進むべき枠は自然と絞られます。
重要な条件は、対象が「IT導入支援事業者が事務局に登録したツール」に限られることです。生成AIを使ったツールなら何でもよいわけではなく、登録済みツールを登録事業者経由で導入する建て付けです。補助上限は最大450万円・補助率1/2〜(インボイス対応の小規模事業者は条件により4/5程度まで引き上げあり)とされていますが、枠や類型で細かく異なるため、自社が使う枠の公募要領で必ず確認してください。
進め方としては、まず導入したい業務領域(経理・受発注・顧客対応など)を決め、公式サイトのツール検索で登録済みツールを探し、その提供元であるIT導入支援事業者に申請手続きを相談する、という順番です。この制度はベンダーと二人三脚で申請する仕組みで、申請書類の多くは支援事業者と共同で作成するため、自社だけで抱え込む必要はありません。なお、広告宣伝目的のホームページ制作はこの補助金の対象外です。
新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金の使いどころ
AIを組み込んだ検査装置や、自社業務に合わせて開発する独自システムなど、既製ツールの導入に収まらない投資は、新事業進出・ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金が候補です。旧ものづくり補助金は第23次公募(2026年5月8日締切)で区切りとなり、2026年度からは新事業進出補助金と統合された制度で公募されています。第1回の締切は10月30日18時で、補助率は1/2〜2/3、賃上げ要件があります。
省力化投資補助金には、登録済みの省力化製品から選んで申請する「カタログ注文型」(随時受付)と、現場に合わせた設備・システム構築を支援する「一般型」があります。一般型の第8回は10月16日17時に締め切られ(採択発表は2027年2月上旬の予定)、2026年10月29日時点で第9回の日程は公表されていません。人手不足対応の文脈で、AIを活用したシステムも対象になり得ます。どちらも補助額が大きい分、事業計画の作り込みに1〜2カ月かかる前提で動いてください。
名古屋・愛知の中小企業がAI補助金を使うときの相談先は?
愛知県の「中小企業デジタル化・DX促進補助金」は2026年度の受付を5月12日に終え、名古屋市の「中小企業デジタル活用支援補助金」も通常枠・賃上げ枠は6月1日に締め切られました。年度後半に検討を始めた愛知の事業者が実際に使えるのは、国の3制度です。県・市の2027年度の公募時期はまだ公表されていないため、公募要領が出た時点で確認してください。県・市の制度の金額や要件は、名古屋・愛知のAI補助金まとめ記事で詳しく整理しています。
どの制度を選ぶか迷ったときの無料の相談先として、あいち産業振興機構が運営する愛知県よろず支援拠点があります。名駅のウインクあいち内にあり、Web会議や電話でも相談できます。名古屋市の制度を使う場合は、名古屋市新事業支援センターまたは名古屋商工会議所での事前相談が申請要件です。国のデジタル化・AI導入補助金は、登録されたIT導入支援事業者と共同で申請する仕組みです。
愛知は自動車部品をはじめとする製造業の集積地で、検査や段取りの省力化にAIを組み込む投資は、ものづくり系・省力化系の制度と相性がよい分野です。一方で事務部門の集計・資料作成のように登録ツールで済む業務は、デジタル化・AI導入補助金のほうが手続きが軽く済みます。工場の設備投資と事務のAI化を同じ制度でまとめようとせず、投資の中身ごとに制度を分けて考えると選びやすくなります。
- 制度選びの無料相談:愛知県よろず支援拠点(あいち産業振興機構・ウインクあいち内。Web・電話相談可)
- 名古屋市の補助金:名古屋市新事業支援センターまたは名古屋商工会議所での事前相談が申請要件
- 国のデジタル化・AI導入補助金:公式サイトで愛知県に対応する登録IT導入支援事業者を検索
補助対象になる費用・ならない費用|ツール費と活用支援費の違い
見落とされがちなのが、「ツールの購入費・利用料」と「活用支援・人件費」で補助対象が分かれる点です。補助金が想定しているのは登録されたソフトウェアの導入費や一定期間の利用料であり、ChatGPTなど汎用生成AIの利用料を単体で申請する使い方や、社内担当者の人件費、業務の洗い出し・プロンプト整備・定着までの伴走支援といった費用は、対象外になるか制度ごとに扱いが異なります。
実務では、AI導入の成否を分けるのはツール代よりも「誰が・どの業務で・どう使うか」を整える部分です。つまり補助金でカバーできるのは導入コストの一部であり、定着までの体制は自社で予算化する必要があります。補助金で安くツールを入れたものの誰も使わなくなった、という失敗は、この構造を知らないまま申請することから生まれます。
- 対象になりやすい:登録済みITツールの導入費・利用料、AI機能付き業務ソフト
- 対象になりにくい:汎用生成AIの利用料単体、社内人件費、研修・定着支援の費用
- 制度により異なる:クラウド利用料の対象期間、ハードウェア、保守費
申請の手順と採択のコツ|つまずきやすいポイントを先に潰す
実際の申請は、書類を書き始める前の「準備運動」で差がつきます。最初に揃えるのは、電子申請に必須のGビズIDプライム、情報セキュリティ対策に取り組む意思表示である「セキュリティアクション」の自己宣言、納税証明書などの公的書類の3点です。とくにGビズIDプライムは発行までに数週間かかることがあり、締切間際に申請して間に合わなかった、という失敗が定番です。やると決めたらこの3つは真っ先に着手してください。
全体の流れは、①事前準備(ID・宣言・書類)→②支援事業者とツールの選定→③共同で交付申請→④審査・交付決定→⑤契約・導入・支払い→⑥実績報告、という順番です。ここで絶対に外せないのが、交付決定の通知を受け取る前に発注・契約・支払いをしないことです。先に動いてしまうとその費用は一切補助されず、内容がどれだけ良くても失格になります。これは実務でもっとも多い事故です。
採択率を上げる勘所は、申請書を「ツール紹介」ではなく「課題解決の物語」として書くことです。審査側が見ているのは、ツールを買うこと自体ではなく、それで経営課題がどう解決し生産性がどれだけ上がるかです。たとえば『この入力作業に毎日3時間かかっている→この機能で1時間に短縮できる』のように、課題・導入するツール・数値目標(KPI)を一本の線でつなぐと説得力が一気に増します。この一連の数字づくりは、補助金を使わない場合の投資判断にもそのまま流用できます。
- 事前準備(数週間かかる):GビズIDプライム取得・セキュリティアクション宣言・納税証明書等の用意
- 交付決定前の発注・契約・支払いは厳禁。フライングは即失格になる最多の失敗
- 申請書は『課題→ツール→数値目標(KPI)』をセットで書く。ツールの便利さの説明だけでは通らない
- 公募回ごとに締切・受付開始日が変わるため、古い情報のまま進めず公式サイトの最新情報を確認
補助金を待つか、月10万円から始めるか|判断基準
補助金には「待ち時間」というコストがあります。公募を待ち、申請書を作り、採択・交付決定を経てから発注するため、着手まで数カ月かかるのが普通です。さらに後払いのため、資金はいったん全額立て替えます。一方、補助金を使わなければ明日からでも始められます。名古屋・名駅の当社オフィスでは、愛知の事業者と対面で相談しながら進められます。当社のAI導入支援は月10万円〜で、Excel集計や資料作成など効果の出やすい業務から小さく始める設計です。
判断基準はシンプルで、「待つ間に失う削減効果」と「補助金で浮く金額」の比較です。たとえば月20時間の削減が見込める業務なら、6カ月待つことは120時間分の効果を捨てることと同じです。逆に、数百万円規模のシステム投資なら補助金を待つ価値は十分あります。少額のツール導入は即実行、大型投資は補助金活用、と投資規模で分けるのが現実的です。
費用対効果の試算方法|削減時間×人件費で補助金の要否を決める
試算の手順は3ステップです。①対象業務の作業時間を週単位で書き出す(例:Excel集計に週10時間)、②AI化で減らせる割合を保守的に見積もる(まず5割)、③削減時間×人件費単価(時給換算2,000〜3,000円程度)で年間効果を出す。週10時間×50%×単価2,500円なら、年間で約60万円の効果です。この金額が投資額を上回るかが判断の起点になります。
実際に当社が支援した事例では、Excel集計と資料作成の自動化で月40時間を削減し、年間60万円のコスト削減につながりました。この規模の効果なら、補助金を待たずに月10万円〜の支援で始めても初年度から回収が見込めます。具体的な業務別の削減実績は導入事例にまとめています。試算が補助金の申請書づくりにもそのまま使えるため、まず数字を出すことから始めてください。
よくある質問
QChatGPTの有料プランの利用料に補助金は使えますか?
原則難しいと考えてください。デジタル化・AI導入補助金の対象は、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールに限られ、汎用生成AIの利用料を単体で申請する使い方は想定されていません。生成AI機能を組み込んだ登録済みの業務ツールを導入する形なら対象になり得ます。月数千円程度の利用料なら、補助金の手間をかけず自費で始めて効果検証する方が早いケースがほとんどです。
Q補助金の申請は誰に相談すればいいですか?
申請そのものは、商工会議所・商工会や認定支援機関(国が認定した経営支援の専門機関)、デジタル化・AI導入補助金ならIT導入支援事業者が窓口です。愛知県内なら、あいち産業振興機構が運営する愛知県よろず支援拠点でも無料で制度選びを相談できます。当社UniGainは申請代行は行わず、業務の洗い出しや削減効果の試算、採択後のAI導入・システム開発の実行を担当します。
Q補助金の採択を待つ間にできることはありますか?
あります。おすすめは、補助対象にしない小さな業務で先にAIを試すことです。たとえば議事録作成やメール文面の下書きなど無料〜月数千円で始められる範囲で効果を体感し、削減時間を記録しておくと、その数字が申請書の説得力を高めます。社内のAI利用ルールづくりも採択を待つ期間に進めておくと、交付決定後すぐ本格導入に移れます。
Qデジタル化・AI導入補助金の6次締切に間に合わない場合はどうすればいいですか?
7次公募回での申請を目指します。事務局は7次から1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の向上を申請要件に加えると告知しているため、まず自社の賃上げ計画で要件を満たせるかを確認してください。締切日は事務局の事業スケジュールで公表されます。GビズIDプライムの取得など事前準備は今のうちに進めておけます。
UniGain