愛知県の事業所が人材開発支援助成金を使うときは、訓練開始日の6か月前から1か月前までに、愛知労働局のあいち雇用助成室へ職業訓練実施計画届を出すのが最初の手続きです。この記事では、愛知での申請窓口と電子申請の方法、計画届から支給申請までの流れと期限、コース別の助成率、令和8年8月の改正でAI研修が対象外になる条件を順に解説します。
人材開発支援助成金とは?愛知の中小企業が使える4コースと助成率
人材開発支援助成金は、従業員に職務に関連した訓練を受けさせた事業主に、訓練経費と訓練中の賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。愛知県内の事業所でも制度の中身は全国と同じで、違うのは申請先が愛知労働局になる点だけです。令和8年度の中心となるコースは、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースの4つです。
中小企業がよく使うのは人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースです。人材育成支援コースの人材育成訓練は、10時間以上のOFF-JT(通常業務を離れて行う研修)が対象で、正社員の場合の経費助成率は45%(賃金要件等を満たすと60%)、賃金助成は1人1時間800円です。
事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げやDX・GXに伴って新しい知識や技能を身につけさせる訓練が対象で、中小企業は経費助成率75%、賃金助成は1人1時間1,000円です。1事業所あたりの上限は年度1億円です。このコースは令和4年度から令和8年度までの期間限定の制度とされているため、使うなら今年度中に計画を出す必要があります。
金額のイメージを試算します。中小企業が正社員5人に、業務に直結した20時間の研修(受講料1人10万円)を事業展開等リスキリング支援コースで行う場合、経費助成は50万円×75%で37.5万円、賃金助成は5人×20時間×1,000円で10万円、合計47.5万円が目安です。実際には訓練時間数に応じた経費助成の上限があるため、計画前にパンフレットで上限額を確認してください。
| コース | 主な対象 | 中小企業の経費助成率 | 賃金助成(1人1時間) |
|---|---|---|---|
| 人材育成支援コース(人材育成訓練・正社員) | 職務に関連する10時間以上のOFF-JT | 45%(賃金要件等を満たすと60%) | 800円 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業・DX・GXに伴う訓練 | 75% | 1,000円 |
| 人への投資促進コース | 高度デジタル人材の育成、定額制の訓練など | 訓練メニューにより異なる | 訓練メニューにより異なる |
| 教育訓練休暇等付与コース | 有給の教育訓練休暇制度の導入 | 制度導入への定額助成 | 対象外 |
経費助成はいくらまで?訓練時間別の限度額と令和8年度の変更点
経費助成には受講者1人・1訓練あたりの限度額があり、訓練時間で3段階に分かれます。人材育成支援コースの人材育成訓練は中小企業で10時間以上100時間未満が15万円、100時間以上200時間未満が30万円、200時間以上が50万円です。事業展開等リスキリング支援コースは同じ区分で30万円、40万円、50万円と枠が広く、受講料の高いAI・DX研修はこちらのコースで組む方が助成額を確保しやすくなります。
令和8年4月8日の改正で、eラーニングと通信制の訓練は訓練時間に関係なく中小企業15万円が上限になりました。受講料がこれを超える講座では、超えた分は自己負担になる計算です。同じ改正で、訓練と合わせて設備を導入する中小企業向けの「設備投資加算」が新設され、対象者10人未満は1人15万円、10人以上は150万円を上限に導入費用の50%が加算されます。
手続き面では、令和8年3月2日から人材育成支援コース・人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コースで分割での支給申請ができるようになり、長期の訓練でも途中で助成金を受け取れます。令和8年5月14日からは支給申請時に「受講料等の価格設定に関する疎明書」(様式第28号)の提出が必要になったため、研修会社から受講料の内訳を書面で受け取っておいてください。
| 訓練時間(1人1訓練) | 人材育成訓練(中小企業) | 事業展開等リスキリング支援コース(中小企業) |
|---|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 15万円 | 30万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 30万円 | 40万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 50万円 |
| eラーニング・通信制(時間数問わず) | 15万円 | 15万円 |
愛知での申請窓口はどこ?あいち雇用助成室と電子申請
愛知県内の事業所の申請窓口は、愛知労働局のあいち雇用助成室(第一係)です。所在地は名古屋市中区錦二丁目14番25号 ヤマイチビル11階、電話は052-688-5758で、受付は平日8時30分から17時15分までです。支給要件や書類の書き方で迷ったときは、計画届を出す前に電話で確認すると手戻りを減らせます。
書類は窓口への持参や郵送のほか、厚生労働省の「雇用関係助成金ポータル」から電子申請もできます。電子申請にはGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要で、GビズIDエントリーでは使えません。アカウントの発行には日数がかかるため、電子申請を使うなら研修内容を決める段階で取得を始めてください。
計画届を出す前に、社内で2つの準備が必要です。1つは、社内の人材育成の責任者となる「職業能力開発推進者」を選任すること、もう1つは、育成の方針をまとめた「事業内職業能力開発計画」を作って従業員に周知することです。どちらも様式は厚生労働省のサイトにあり、計画届の添付書類として確認されます。
申請書類の作成と提出を外部に依頼する場合、代行できるのは社会保険労務士です。研修会社が「申請手続きをすべて代わりに行う」と案内してくるケースもありますが、厚生労働省のQ&Aでも注意が呼びかけられています。研修会社に任せるのはカリキュラムと受講記録までにし、申請は自社か社労士が行う形が安全です。
- 窓口:愛知労働局 あいち雇用助成室 第一係
- 所在地:名古屋市中区錦二丁目14番25号 ヤマイチビル11階
- 電話:052-688-5758(平日8時30分〜17時15分)
- 電子申請:雇用関係助成金ポータル(GビズIDプライムまたはメンバーが必要)
愛知労働局で扱う他の助成金との使い分け|あいち雇用助成室の担当範囲
あいち雇用助成室は人材開発支援助成金だけでなく、非正規社員の正社員化や処遇改善を助成するキャリアアップ助成金(障害者正社員化コースを除く)も受け付けています。研修の後に契約社員を正社員に転換する計画なら、人材開発支援助成金で訓練費を、キャリアアップ助成金で転換後の人件費をそれぞれ申請する組み合わせが使えます。雇用調整助成金は同室の第三係(電話052-219-5518)が担当で、第一係とは窓口が分かれています。
賃上げに合わせた設備投資を助成する業務改善助成金、両立支援等助成金、働き方改革推進支援助成金、人材確保等支援助成金のテレワークコースは、あいち雇用助成室ではなく愛知労働局の雇用環境・均等部(三の丸庁舎)が窓口です。AIツールの導入費を助成金で補いたい場合、研修なら人材開発支援助成金、最低賃金の引き上げと組み合わせた設備投資なら業務改善助成金と、目的で窓口が変わると覚えておくと問い合わせの手戻りがなくなります。
| 助成金 | 主な用途 | 愛知での窓口 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 | 従業員の訓練費・訓練中の賃金 | あいち雇用助成室 第一係(052-688-5758) |
| キャリアアップ助成金 | 非正規社員の正社員化・処遇改善 | あいち雇用助成室 |
| 雇用調整助成金 | 休業・教育訓練による雇用維持 | あいち雇用助成室 第三係(052-219-5518) |
| 業務改善助成金 | 賃上げと合わせた設備投資・業務改善 | 愛知労働局 雇用環境・均等部(三の丸庁舎) |
| 両立支援等助成金・働き方改革推進支援助成金 | 育児介護との両立、労働時間の短縮 | 愛知労働局 雇用環境・均等部(三の丸庁舎) |
人材開発支援助成金の申請の流れ|計画届から支給申請までの5ステップ
申請は「訓練の前」と「訓練の後」の2回に分かれます。訓練の前に出すのが職業訓練実施計画届で、訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に提出します。この期間を外すと助成の対象外になり、後から取り返す方法はありません。研修日程が決まったら、逆算して計画届の提出日を先に押さえてください。
計画届が受理されたら、計画どおりに訓練を実施します。日程・時間数・受講者が変わる場合は、変更届を期限内に出す必要があります。訓練中は出勤簿や賃金台帳、受講記録を研修ごとに整理しておくと、支給申請の書類づくりが早く進みます。
訓練が終わったら、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請書を提出します。研修費は先に全額を支払い、助成金は審査を経て後から振り込まれるため、研修費をいったん自社で立て替える前提で資金計画を立ててください。
実際の支援現場でよくあるのは、研修会社との契約を先に済ませてから助成金を思い出し、計画届の期限に間に合わないケースです。研修会社を選ぶ段階で、開始日を計画届の提出から1か月以上先に設定できるかを確認しておくと、この失敗を防げます。
| 手続き | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 職業訓練実施計画届 | あいち雇用助成室(または電子申請) | 訓練開始日の6か月前〜1か月前 |
| 変更届(日程・受講者の変更時) | あいち雇用助成室(または電子申請) | 変更内容に応じて定められた期日まで |
| 支給申請書 | あいち雇用助成室(または電子申請) | 訓練終了日の翌日から2か月以内 |
AI研修・DX研修で人材開発支援助成金を使うときの注意点(令和8年8月改正)
生成AIやDXの研修は事業展開等リスキリング支援コースの対象になり得ますが、令和8年8月3日の改正で条件が厳しくなりました。職業人として共通して必要になる汎用的な内容の訓練は、DX・GXに関するものでも対象外と明確化されています。たとえば、生成AIのプロンプトの書き方を一般的に学ぶだけの研修は対象外になります。
対象になりやすいのは、受講者の具体的な業務に直結する内容です。営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案を作り、文章を生成・修正する方法を学ぶ研修のように、職種と業務を特定したカリキュラムにします。研修会社の資料に「全社員向けAI入門」とだけ書かれている場合は、そのまま計画届に使えるかをあいち雇用助成室に確認してください。
同じ改正で、同一の労働者が受講できる回数は1年度3回まで、eラーニングは1回までに制限されました。複数の研修を組み合わせる計画では、受講者ごとの回数を数えてから計画届を作ります。研修内容を自社の業務から設計する進め方は、社内AI研修の進め方の記事で詳しく解説しています。
- 対象外になりやすい:プロンプトの一般的な書き方、AIの概念理解だけの入門研修
- 対象になりやすい:職種と業務を特定した実務研修(例:営業の提案書作成、製造の作業手順書づくり)
- 受講回数:同一労働者は1年度3回まで、eラーニングは1回まで
- 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度までの期間限定
名古屋・東海の中小企業での使いどころと不支給を避けるポイント
愛知を中心とする東海の中小企業では、自動車部品などの製造業、物流、建設で人手不足への対応が続いています。こうした業種で助成金と相性がよいのは、作業手順書や日報の作成を生成AIで効率化する研修、受発注データをExcelから業務システムに移すためのDX研修のように、現場の業務を題材にした訓練です。業務に直結するほど、令和8年8月改正の条件も満たしやすくなります。
不支給になる典型は、計画届の期限切れ、計画と実績の不一致(受講者の差し替えや時間数の不足)、受講記録の不備の3つです。訓練時間は10時間以上が基本要件なので、欠席や早退で受講時間が足りなくならないよう、研修日は繁忙期を避けて設定します。
研修の内容を決めるときは、まず助成金を使わない場合の費用対効果で判断し、助成金は上乗せと考えるのが安全です。助成金は審査を経て支給されるもので、申請すれば必ず受け取れるものではありません。書類の不備や要件の読み違いで不支給になっても研修の価値が残るよう、受講後に現場で何を変えるかを研修前に決めておきます。
研修を受けたあとに業務が変わらなければ、助成金で費用を抑えても成果は残りません。弊社のAI導入支援(月10万円〜)では、研修の題材にする業務の選定から、研修後に現場で使い続ける仕組みづくりまで伴走しています。Excel集計と資料作成の自動化で月40時間を削減した事例もあり、詳細は事例ページで公開しています。愛知・名古屋の企業とは名駅の拠点で対面の相談もできます。
- 計画届は訓練開始日の6か月前〜1か月前(期限切れは救済なし)
- 受講者・日程・時間数を変えるときは変更届を出す
- 出勤簿・賃金台帳・受講記録を研修ごとに保管する
- 研修テーマは現場の具体的な業務から選ぶ
よくある質問
Q愛知県で人材開発支援助成金の相談はどこにすればいいですか?
愛知労働局のあいち雇用助成室(電話052-688-5758)に相談します。名古屋市中区錦のヤマイチビル11階にあり、支給要件や計画届の書き方を平日8時30分から17時15分まで受け付けています。書類作成を外部に頼む場合は社会保険労務士に依頼します。
Q生成AIの研修は人材開発支援助成金の対象になりますか?
受講者の具体的な業務に直結する内容なら対象になり得ます。令和8年8月3日の改正で、プロンプトの一般的な書き方など汎用的な内容の訓練は対象外と明確化されました。営業の提案書作成や製造の手順書づくりのように、職種と業務を特定したカリキュラムにすることが前提です。最終的な判断は計画届の段階であいち雇用助成室に確認してください。
Q計画届の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
その訓練は助成の対象外になります。計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの提出が要件で、後から出しても認められません。研修の開始日を1か月以上後ろにずらせるなら、日程を変更したうえで改めて計画届を出す方法があります。
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