Claude Projects(プロジェクト機能)を使うと、会社情報・過去の成果物・文体ルールをあらかじめ登録した「業務専用のAI環境」を作れます。毎回同じ前提説明を繰り返す必要がなくなり、提案書や報告書の下書きが最初から自社仕様で出てくるようになります。この記事では、プロジェクトの作成手順、カスタム指示とナレッジに入れるべき内容、部署別の活用例、料金プランと機密情報の注意点まで、中小企業の実務目線で解説します。
Claude Projectsとは?毎回の前提説明が不要になる仕組み
Claude Projectsは、対話AI「Claude」に業務の前提条件をまとめて覚えさせておける機能です。構成要素は2つだけ。役割・文体・判断基準を文章で指定する「カスタム指示」と、会社案内や過去の成果物などの参照資料をアップロードしておく「ナレッジ」です。この2つをセットすると、そのプロジェクト内の会話ではClaudeが常に前提を踏まえて回答します。
通常のチャットでは「当社は名古屋の設備工事会社で、主要顧客は工場、強みは短納期対応で……」という説明を依頼のたびに入力し直す必要があります。プロジェクトに一度この前提を登録すれば、次からは「A社向けの提案書の骨子を作って」と一言頼むだけで、自社の状況を分かった上での回答が返ってきます。
業務で効くのは出力品質の安定です。誰が使っても同じ前提・同じトーンで出力されるため、AIの成果物の出来が「プロンプトを書くのがうまい人」に依存しなくなります。設定はすべて画面上の操作で完結し、プログラミングの知識は一切不要です。属人化しないAI活用の土台として、専任のIT担当がいない中小企業でも導入しやすい機能です。
業務専用プロジェクトを作る5つの手順
手順は「プロジェクト作成→カスタム指示→ナレッジ登録→テスト→修正」の5ステップです。ClaudeのWeb版(claude.ai)にログインし、サイドバーのプロジェクトから新規作成します。名前は「営業提案書アシスタント」「経理問い合わせ対応」のように、目的が一目で分かる単位で付けるのが後々の管理を楽にします。
カスタム指示には、役割・アウトプットの構成・文体を書きます。例えば「あなたは当社の営業アシスタント。提案書は課題→解決策→費用→スケジュールの順で構成する。です・ます調で、専門用語には一言の補足を付ける」といった具合です。凝った書き方は不要で箇条書きで構いません。誇張表現をしない・根拠のない数値を書かないといった禁止事項も添えておくと出力が安定します。
ナレッジには会社案内・過去の提案書2〜3本・料金表・よくある質問などを登録します。PDF・Word・Excelなどのファイルをそのままアップロードできます。最初から完璧なセットを目指す必要はなく、実際に依頼してみて出力のズレを見つけたら指示や資料を足す、という育て方が現実的です。最初に登録する資料の目安は次の通りです。
- 会社案内・サービス紹介資料(自社の前提を伝える基本情報)
- 過去の成果物2〜3本(提案書・報告書など、出力の手本になるもの)
- 料金表・よくある質問(回答の根拠になる一次資料)
- 文体・トーンのルールがあれば1枚にまとめたメモ
部署別に何を登録すればいい?活用例4パターン
営業部門なら、過去に受注できた提案書・製品仕様・事例集をナレッジに入れておくと、「製造業向けの提案書の初稿を作って」の一言で自社の型に沿った下書きが出てきます。週報や訪問報告のフォーマットを登録して、メモ書きから報告書を整形させる使い方も相性が良いです。
経理・総務なら経費規程や就業規則を登録して、社内からの問い合わせ回答の下書きに使えます。採用担当なら過去の求人票と評価基準を入れてスカウト文や求人原稿の作成に、広報なら過去記事とトーン&マナー資料を入れてSNS投稿やブログの下書きに、と部署ごとに専用プロジェクトを立てるのが基本形です。
運用のコツは「1プロジェクト=1目的」に絞ることです。提案書作成と経理相談を1つのプロジェクトに詰め込むと、指示と資料が混ざって出力の精度が落ちます。人間の組織で専門家に仕事を割り振るのと同じで、目的別に分ければそれぞれが「その仕事の専属アシスタント」として育ち、指示もナレッジも管理しやすくなります。
| 部署 | 登録するナレッジの例 | 任せられる業務 |
|---|---|---|
| 営業 | 受注した提案書・料金表・事例集 | 提案書の初稿、報告書の整形 |
| 経理・総務 | 経費規程・就業規則・社内マニュアル | 社内問い合わせ回答、通知文の下書き |
| 採用 | 求人票・面接評価基準 | 求人原稿、スカウト文の作成 |
| 広報・マーケ | 過去記事・トーン&マナー資料 | SNS投稿、ブログ記事の下書き |
実務で品質を上げる使い方のコツ
実際の支援現場でよくあるのは、AIの出力をそのまま使おうとして「思ったものと違う」と止まってしまうパターンです。成果を出している会社は人とAIの分担がはっきりしています。AIに8割の完成度まで作らせ、残りの2割——自社ならではの一次情報・実際の数値・自分らしい言い回し——を人が仕上げる。最初からこの前提で運用すると、過度な期待も失望もなく導入がスムーズに進みます。
出力の精度は、ナレッジに入れる過去の成果物の質と量でほぼ決まります。提案書なら受注できたもの、メールなら相手の反応が良かったものを選んで登録しましょう。出力が期待とズレたときは、その場で直すだけでなくカスタム指示に「見積もりの根拠は必ず明記する」のように1行足しておくと、次回から同じ修正が不要になります。
プロジェクトが「どんな前提で働くか」を決める仕組みだとすると、作業手順そのものをルール化するSkillsという機能もあります。両方を組み合わせると、前提と手順の両方をセットした状態から「やって」の一言で成果物が出る体制に近づきます。まずはプロジェクト単体で回し、定型化できた作業から手順化するのがおすすめです。
料金プランはどれを選ぶ?導入時の注意点
プロジェクト機能は無料プランでも作成できます(作成数やアップロード容量に制限あり)。業務で本格的に使うなら月額20ドルのProプランが現実的な選択肢です。複数人でプロジェクトを共有するなら、1人あたり月額25ドル(年払いなら20ドル)・最低5席からのTeamプランを使うと、部署のメンバー全員が同じ専用AIを使えます。なお2026年4月以降、日本での利用には消費税10%が加算されます(2026年7月時点)。
導入時に先に決めておきたいのが機密情報の線引きです。個人情報や取引先の機密資料はナレッジに登録しない、データの学習利用に関する設定を確認する、アップロード可能な資料の範囲を一覧にする——この3点を社内ルールとして明文化してから展開すると、後からのトラブルを防げます。ルール作りが先、展開が後という順番を崩さないことが定着の近道です。
当社のAI導入支援(月10万円〜)でも、この「前提の設計」と社内ルール作りから伴走しています。Excel集計・資料作成の自動化で月40時間を削減した支援例のように、効果が測りやすい定型業務から小さく始めるのが失敗しない進め方です。具体的な成果は事例ページで紹介しています。
よくある質問
QChatGPTのGPTsとは何が違いますか?
前提や資料を登録して専用AIを作るという考え方は共通です。違いとして、Claudeは長い資料の読み込みと自然な日本語の文章生成に定評があり、提案書や報告書など「読ませる文章」を作る業務に向きます。既に社内で使っているツールがあるなら、まず同じ用途で出力を比較してみるのが確実です。
Q無料プランでも業務に使えますか?
無料プランでもプロジェクトは作成でき、試用には十分です。ただし作成数・アップロード容量・利用回数に制限があるため、毎日の業務で使うなら月額20ドルのProプラン以上が前提になります。まず無料で1つ作り、効果を確かめてから有料化する流れがおすすめです。
Q社内資料をアップロードしても安全ですか?
アップロード前に、個人情報や取引先の機密を含む資料は登録しないという社内ルールを決めておくのが原則です。あわせて、データの学習利用に関する設定を確認し、チーム利用ならTeamプランなど管理機能のあるプランを選ぶと、統制を保ちながら活用できます。
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