システム開発

運送業の事務を効率化する方法|配車・日報・請求を仕組みに乗せる

公開:2026/04/22読了目安 約9分執筆:株式会社UniGain
運送業の事務を効率化する方法|配車・日報・請求を仕組みに乗せるのイメージ

配車はベテランの頭の中、運転日報は紙からExcelへ手転記、請求は荷主ごとに条件が違って月末に残業が集中する。中小運送会社の事務は、この3つが絡み合って回らなくなります。ドライバー採用が厳しい中で事務員を増やす余裕はなく、「人を足す」以外の答えが必要です。本記事では、運送業の事務が回らなくなる典型構造を分解し、運送業向けSaaS・汎用ツール・自社業務に合わせたシステム化という3つの選択肢、現場のやり方を変えずに仕組みに乗せる考え方、段階的な進め方と費用感までを具体的に解説します。

運送業の事務が回らなくなる典型構造を分解する

まず自社の事務を4つに分けて見てください。第一に配車です。車両・ドライバー・荷主の都合を組み合わせる作業がベテラン1人の頭の中にあり、その人が休むと回らない。第二に運転日報で、紙の日報やデジタコ(運行記録計)のデータを事務員がExcelへ転記し、労務管理と請求の両方に使い回しています。

第三が請求です。荷主ごとに運賃表・燃料サーチャージ・待機料・附帯作業の扱いが違い、「この荷主は高速代込み、あの荷主は別請求」といった条件が担当者の記憶とExcelの計算式に埋まっています。第四が電話とFAXの応対で、配車変更も集荷依頼も電話で入るため、事務員は作業を中断され、聞いた内容をメモから配車表へ書き写す二度手間が発生します。

この4つは独立した問題ではなく、「同じ情報を別々の紙とExcelに何度も書き写している」という1つの構造です。配車表に書いた運行が日報にもう一度書かれ、日報の内容が請求書にまた書き写される。転記のたびに時間とミスが発生し、月末の請求締めにすべてのしわ寄せが集まります。

ドライバー不足の中で「事務に人を足す」が選べない理由

運送業界では時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題への対応以降、ドライバーの労働時間管理が厳格になり、運行計画と労務記録の事務負担はむしろ増えています。一方で採用市場ではドライバー確保が最優先で、事務員の増員に予算を回せる会社は多くありません。「業務は増えるが人は増やせない」が前提条件になっています。

さらに、事務に人を足しても根本の構造は変わりません。配車の属人化は新人を採用しても解消されず、転記作業は人が増えれば転記する人が増えるだけです。荷主ごとの請求条件を覚えるのに1年かかるなら、退職のたびに同じ1年を繰り返します。人で解決しようとする限り、採用と教育のコストが恒常的にかかり続けます。

だからこそ打ち手は「転記をなくす」「頭の中の条件をデータにする」という仕組み側の変更になります。運行の情報を一度だけ入力し、日報・労務記録・請求書がそこから自動で作られる形にできれば、事務員を増やさずに月末の残業を減らせます。次のセクションで、その実現手段を3つに整理します。

効率化の選択肢は3つ:運送業向けSaaS・汎用ツール・自社システム化

第一の選択肢は運送業向けSaaS(月額制のクラウドサービス)です。配車・動態管理・請求まで揃った製品が複数あり、初期費用を抑えて早く始められます。自社の運用が製品の標準的な流れに合うなら有力です。一方、荷主ごとの特殊な請求条件や独自の配車ルールが多い会社では「機能はあるが自社のやり方と合わない」が起きやすい点に注意が必要です。

第二は汎用ツールの組み合わせです。スプレッドシートの共有化、LINEやチャットでの配車連絡、ノーコードツール(プログラミング不要の作成ツール)でのフォーム化など、月数千円〜数万円で始められます。電話メモの転記をなくす程度なら十分ですが、配車・日報・請求をつなぐ基幹部分を組むには限界があります。

第三が自社業務に合わせたシステム化です。費用は掛かりますが、荷主ごとの運賃条件や自社特有の配車ルールをそのまま実装でき、「システムに合わせて業務を変える」必要がありません。判断基準は、自社の特殊な条件の多さです。SaaSの画面を見て「うちはこの通りには動いていない」と感じる箇所が多いほど、自社システム化の効果が大きくなります。各選択肢の詳しい比較は関連記事に譲り、本記事は運送業での使い分けに絞ります。

「現場のやり方を変えずに仕組みに乗せる」が定着の条件

運送業の効率化が失敗する典型は、立派なシステムを入れたのにドライバーと配車係が使わず、結局Excelと電話に戻るパターンです。原因は、現場に新しい操作を覚えさせる前提で設計されていることです。逆に定着する仕組みは、ドライバーはこれまで通り報告し、配車係はこれまでの配車表に近い画面で組み、裏側のデータの流れだけが変わる形をしています。

具体的には、配車係が画面上で組んだ配車から運転日報の下書きと請求データが自動で生成され、月末は荷主ごとの条件が反映された請求書が確認するだけで出てくる、という流れです。入力は1回、転記はゼロ。ベテランの頭の中にあった荷主条件はシステム側に登録されるため、担当者が休んでも請求が止まりません。

弊社が支援した卸売業の会社では、受発注まわりの業務を自社の流れに合わせてシステム化した結果、事務工数を60%削減し、顧客への対応速度は2.5倍になりました。「荷主(取引先)ごとに条件が違い、電話で動き、Excelに転記する」という構造は運送業と同じで、業種が違っても同じ打ち手が効きます。詳細は事例ページで紹介しています。

段階的な進め方と費用感:80万円からの小規模開発も選べる

一気に全部を作る必要はありません。おすすめの順序は、最も転記が多い1業務から始めることです。多くの会社では運転日報か請求のどちらかが該当します。たとえば「配車表のデータから日報と請求データを自動生成する」部分だけを先に作れば、月末残業の削減効果をすぐに確認でき、その結果を見てから配車管理や荷主向けの仕組みへ広げられます。

費用感の目安として、弊社の業務アプリ・システム開発は80万円〜です。日報転記の自動化や請求書作成の仕組み化といった1業務単位の小規模開発はこの規模から始められ、配車・日報・請求を通しでつなぐ場合はヒアリングの上で段階的な計画をご提案します。最初に全体像を描き、作るのは効果の大きい順に1つずつ、が失敗しない進め方です。

進める際は、最初の2週間で「誰が・何を・どこに転記しているか」を洗い出すことから始めてください。この棚卸しだけでも、やめられる転記が見つかることがあります。弊社は全国オンラインで対応し、愛知・名古屋の会社であれば事務所に伺って配車表や請求の実物を見ながら設計します。導入して終わりではなく、事務員とドライバーが使える状態まで整えて伴走します。

よくある質問

Qうちは運送業向けSaaSと自社開発のどちらを選ぶべきですか?

荷主ごとの請求条件や配車ルールに「うち特有のやり方」がどれだけあるかで判断してください。SaaSのデモ画面を見て自社の流れとほぼ一致するならSaaSが早くて安く済みます。例外条件が多く、Excelの計算式や担当者の記憶で補正している部分が大きいなら、自社業務に合わせた開発のほうが結果的に定着します。

Q高齢のドライバーが多く、新しい仕組みを使えるか不安です。

ドライバー側の操作を増やさない設計にすれば問題ありません。報告はこれまで通りの方法(電話・紙・デジタコ)を維持し、事務所側でデータ化する形から始められます。慣れてきた段階でスマホの簡単な報告に切り替えるなど、現場の様子を見ながら段階的に移行するのが現実的です。

Qシステム化にはどのくらいの期間がかかりますか?

日報転記の自動化や請求書作成など1業務単位なら、要件の整理から運用開始まで2〜3か月が目安です。配車・日報・請求を通しでつなぐ場合は半年程度を見てください。最初の業務棚卸しに2週間ほどかけて転記の全体像を押さえると、後の工程の手戻りが減り、結果的に早く仕上がります。