システム開発

シフト管理をシステム化する手順|Excelシフト表の限界と移行先の選び方

公開:2026/07/26読了目安 約9分執筆:株式会社UniGain
シフト管理をシステム化する手順|Excelシフト表の限界と移行先の選び方のイメージ

シフト管理をシステム化したいが、どこから手を付ければいいか分からない。答えは、ツール選びより先に「希望の集め方」と「シフトを組むルール」を決めることです。ここが曖昧なままシステムを入れると、Excelのときと同じ手作業がツールの中で再現されます。本記事では、Excelのシフト表が限界を迎えるサイン、シフト管理SaaS・勤怠システムの付帯機能・自社アプリ化という3つの選択肢の使い分け、希望収集から公開までの5ステップ、そして現場に定着させるコツを解説します。

Excelのシフト管理が限界を迎える5つのサイン

Excelのシフト表は、スタッフが10名前後までで勤務パターンが固定されている間はよく機能します。崩れ始めるのは、人数が増えて希望の出し方がばらつき、当日の欠勤や交代が日常的に発生するようになってからです。次の5つのうち2つ以上に当てはまるなら、運用の工夫で粘る段階を過ぎています。

特に負担が大きいのが希望シフトの収集です。紙の希望用紙、LINE、口頭、メールと経路がばらばらだと、管理者が一件ずつExcelに転記することになります。転記の時点で漏れや読み違いが起き、確定後に「出せないと伝えたはずの日に入っている」という指摘が来て組み直しになります。作成そのものより、この転記と組み直しに時間が吸われます。

もう1つのサインが属人化です。関数や条件付き書式を積み重ねたシフト表は、作った本人以外には直せなくなります。その人が休むとシフトが出せない状態は、店舗や現場を止めるリスクそのものです。ファイルの最新版が分からず、古い版を見たスタッフが出勤しないという事故も同じ根から起きます。

シフト管理システムの選択肢は3つ。SaaS・勤怠システムの付帯機能・自社アプリ化

1つ目はシフト管理に特化したSaaS(クラウド型の月額サービス)です。スタッフがスマホから希望を出し、システムが必要人数や資格の条件を見ながら原案を自動で組み、確定版を全員に配信するところまで一気につながります。料金は従業員1人あたり月額数百円という設計が主流で、小規模なら月数千円から始められます。

2つ目は、すでに使っている勤怠管理システムのシフト機能を使う方法です。多くの勤怠システムはシフト作成と希望収集の機能を標準または追加オプションで持っています。打刻と同じ画面で完結するため二重入力が消え、追加費用も小さく済みます。最初に確認すべきはここで、足りない部分がはっきりしてから他を探すほうが遠回りになりません。

3つ目は自社の運用に合わせたアプリ化です。複数拠点をまたぐ応援、資格や研修の進み具合による配置制限、案件ごとの人数変動といった条件が絡む場合、汎用サービスの枠に業務を押し込むより、業務に合わせて作るほうが定着します。当社の業務アプリ・システム開発は80万円からで、全国オンラインに対応し、愛知・名古屋のお客様には現場を見ながら設計します。

比較軸シフト管理SaaS勤怠システムの付帯機能自社アプリ化
費用の目安1人あたり月額数百円既存契約への追加分のみ初期80万円〜
向く会社10名以上で希望制のシフト勤怠システム導入済み拠点や配置条件が複雑
自動作成得意(条件設定が必要)製品による自社ルールに合わせて実装
自社ルールへの適合製品の枠内で調整製品の枠内で調整業務に合わせられる
導入までの期間数日〜数週間数日2〜4カ月

SaaSと自社アプリ、どちらを選ぶべき?

判断の軸は「シフトを組むルールの複雑さが、自社の強みに直結しているかどうか」です。飲食や小売のように時間帯別の必要人数でシフトを組む形なら、業界標準に近いのでSaaSの枠内で足ります。逆に、介護の資格要件、警備の法定配置、製造の多能工マップのように、配置ルール自体が品質と売上を左右する場合は、そこを諦めない作り方が向きます。

SaaSを比較するときは、機能一覧より次の3点を実際の画面で確かめてください。希望の出し方がスタッフのスマホで完結するか、自動作成の条件に自社の制約(連勤上限、資格の組み合わせ、ペア禁止など)を入れられるか、確定と変更がスタッフに確実に届くか。この3つが自社の運用に合えば、残りの機能差は運用でほぼ吸収できます。

自社アプリ化を選ぶ場合も、最初から全機能を作る必要はありません。当社が支援した拠点3カ所の卸売業のお客様では、拠点ごとにばらばらだった業務の流れに合わせてシステムを構築したことで、工数を60%削減し、問い合わせへの対応速度は2.5倍になりました。範囲を絞って作り、効果を確かめてから広げる進め方は事例ページで公開しています。

移行の手順:希望収集から公開まで5ステップ

移行で最初にやるのはツールの比較ではなく、いまのシフト作成の流れと暗黙ルールを書き出すことです。誰がいつ希望を集め、何を優先して配置し、確定後の変更は誰がどう伝えているのか。長年の運用でできた色分けや「この2人は同じ日に入れない」といった口伝のルールは、書き出さないとシステムに移した瞬間に失われます。

書き出したルールを、そのまま全部移そうとしないことが肝心です。理由を説明できないルールは、この機会に外す候補にします。残すルールを決めてから、自動作成に載せる条件と、人が最後に調整する部分を線引きします。最初の1カ月は自動作成の原案を人が直す前提で運用し、直した箇所を条件に反映していくと精度が上がります。

対象範囲も欲張らないほうが早く進みます。店舗や部署が複数ある場合は、いちばん作成に時間がかかっている1拠点から始めます。1拠点で「作成時間が半分になった」という実績ができると、他拠点への展開は説得ではなく事実で進められます。全拠点を同時に切り替えると、つまずいた1拠点の対応で全体が止まります。

現場に定着させるコツと、シフト制で押さえる法令の要点

システムが定着するかどうかは、機能ではなくスタッフ側の手間で決まります。希望提出がスマホで30秒で終わり、確定シフトがスマホでいつでも見られ、交代の相談がアプリ内で完結する。提出した本人に「早く確定が分かる」「交代相手を探す手間が減る」という見返りが返る設計なら、告知しなくても使われます。

移行期間に必ず起きるのが二重管理です。システムに入れたうえで休憩室の紙のシフト表も貼り続けると、スタッフは「結局どちらが正なのか」と迷い、やがて紙だけを見るようになります。廃止日を決めてExcelと紙を引退させ、掲示が必要なら確定シフトをシステムから印刷する形に切り替えてください。

シフト制では法令面の確認も同時に済ませておきます。厚生労働省が2022年1月に公表した「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」では、労働条件通知書に始業・終業時刻を「シフトによる」とだけ記載するのは不十分とされています。労働時間の客観的な把握や、年5日の年次有給休暇の取得管理も含め、システム化のタイミングで運用ごと整えるのが効率的です。

よくある質問

Qシフト管理システムの費用はどのくらいかかりますか?

従業員1人あたり月額数百円という料金設計が主流で、20名規模なら月数千円から1万円台に収まるサービスが多くなっています。初期費用が無料のサービスも珍しくありません。自社の運用に合わせて作る場合は初期費用が別に必要になるため、まずは既存の勤怠システムの付帯機能で足りるかを確認するのが順序です。

QExcelは完全にやめるべきですか?

シフトの作成と共有はシステムに移し、Excelは分析に残す使い分けが現実的です。日々変わるシフトは共有の速さが命なのでシステムが向きます。一方、月次の人件費の推移や時間帯別の過不足を検証する作業は、システムから出力したデータをExcelで加工するほうが自由が利きます。「共有と記録はシステム、分析はExcel」と整理してください。

Qスマホに不慣れなスタッフが多くても運用できますか?

できます。希望提出は「出勤できない日をタップする」程度まで操作を減らし、確定シフトは店舗の掲示とアプリの両方で見られるようにすれば、切り替え時の混乱はほぼ起きません。導入初月だけは紙の希望用紙を管理者が代理入力する併走期間を設け、翌月から全員をアプリに寄せる進め方が安全です。