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FAX受発注はなくせなくても効率化できる|卸売業の社内側DXの進め方

公開:2026/04/25読了目安 約9分執筆:株式会社UniGain
FAX受発注はなくせなくても効率化できる|卸売業の社内側DXの進め方のイメージ

「FAXでの受発注をやめたいが、取引先に発注方法を変えてくださいとは言えない」。多くの中小卸売業・メーカーが同じ壁に直面しています。実は、取引先の注文方法を一切変えなくても、社内の処理側だけで受発注業務は大幅に効率化できます。本記事では、FAX受発注がなくならない理由を踏まえたうえで、受注処理の工程分解、AI-OCRでのFAX読み取り、社内側DXの設計、段階導入の手順までを具体的に解説します。

FAX受発注がなくならないのは取引先側の事情です

FAXをやめられない最大の理由は、自社ではなく取引先にあります。発注する側にとってFAXは長年の業務フローに組み込まれており、手書きの注文書をそのまま送れる手軽さがあります。受注側の都合だけでWeb発注に切り替えてもらうのは、力関係や取引の継続を考えると簡単ではなく、強く求めれば注文ごと競合に流れるリスクすらあります。

特に発注側が小規模な小売店や町工場の場合、パソコンやスマホでの入力作業がかえって負担になることもあります。「取引先全員の発注方法を変える」前提で考えると、改革は最初の一歩で止まってしまいます。発想を切り替えて、FAXは今までどおり受け取りながら、社内の処理側だけを効率化するのが現実的な出発点です。

もう1つの背景として、注文経路はFAXだけではない点があります。同じ取引先でも急ぎは電話、定期の注文はFAX、担当者によってはメールと、経路が混在しているのが実態です。仮にFAXだけをWeb化できても電話とメールは残るため、「経路をなくす」より「どの経路で来ても同じ処理に乗せる」ほうが効果は大きくなります。

受注処理を5つの工程に分解すると、効率化できる範囲が見えます

「FAX受発注が大変」という悩みのままでは、打ち手を決められません。まずは受注業務を工程に分解し、どの工程に1件あたり何分かかっているかを書き出すことが第一歩です。1日の受注件数と掛け合わせれば、改善効果を時間と金額で見積もれます。分解してみると、つらいのはFAXそのものではなく転記や確認の工程だと気づくケースがほとんどです。多くの卸売業・メーカーでは、受注は次の5つの工程に分けられます。

このうち取引先が関わるのは①の受信だけで、②から⑤まではすべて社内で完結する工程です。つまり受注業務の大部分は、取引先に一切お願いをせずに効率化できます。特に②の転記は、手入力のミスとその確認作業が集中する工程で、最優先の改善対象です。工程ごとの所要時間を測っておくと、改善後の効果検証もしやすくなります。

AI-OCRでFAXの読み取り・転記を自動化します

AI-OCRとは、手書きや印字の書類をAIが読み取って文字データに変換する技術です。複合機で受信したFAXをPDFとして保存し、AI-OCRに通すことで、品番・数量・納品希望日などの項目を自動でデータ化できます。従来のOCRと違って手書き文字やレイアウトの揺れにある程度対応できるため、書式がばらばらなFAX注文書との相性がよい技術です。

ただし読み取り精度は100%ではありません。取引先ごとに注文書のレイアウトが違うため、まず受注件数の多い主要取引先のフォーマットを登録し、読み取り結果を人が画面で確認してから確定する運用が現実的です。それでも「白紙から打ち込む」作業が「確認して直す」作業に変わるだけで、転記にかかる時間は大きく減らせます。

読み取れなかった注文まで無理に自動化しようとせず、従来どおりの手入力に回すルールをあらかじめ決めておくことも重要です。すべてを一度に自動化するのではなく、件数の多い定型的な注文から自動処理に乗せるという割り切りが、現場で長続きする運用のコツです。例外の扱いを先に決めておけば、導入後の混乱を防げます。

取引先を変えさせない「社内側DX」の設計ポイント

社内側DXとは、取引先との接点であるFAX・電話・メールはそのまま残し、受信した後の処理をデジタル化する考え方です。設計の核心は、どの経路で受けた注文も受信後は1つの管理画面に集約することです。FAXはAI-OCRで取り込み、メールは本文から転記し、電話は受けた担当者がその場で同じ画面に入力します。

集約した後は、在庫確認・出荷指示・請求までを同じデータでつなぎます。注文情報を一度入力すれば、出荷指示書も請求用のデータも再入力なしで作られる状態がゴールです。見直すべき箇所の判断基準はシンプルで、「同じ情報を2回以上手で入力している工程」があれば、そこが設計の対象になります。この基準で業務を眺めるだけでも、改善の優先順位が明確になります。

もう1つの設計ポイントは、注文ごとの進捗の見える化です。「未処理・在庫確認中・出荷指示済み・請求済み」といったステータスを管理画面で持たせると、「あの注文はどうなった?」という社内確認や取引先への回答が一瞬で終わります。担当者が不在でも他のメンバーが状況を答えられるため、属人化の解消にも直結します。

自社の業務に合わせたシステム化が向くケース

標準的な業務であれば市販の受発注サービスで足りる場合もあります。一方、卸売業は取引先ごとの単価・締め日・配送ルールといった例外処理が多く、パッケージに業務を合わせきれないことが少なくありません。複数拠点で在庫と受注の状況を共有したい場合や、使い慣れた販売管理ソフトと連携したい場合は、自社業務に合わせたシステム化が選択肢になります。

実際に当社では、拠点が3カ所ある卸売業のお客様で、FAX・電話・メールに分散していた受発注の進捗管理を一元化する業務システムを構築しました。その結果、受発注業務の工数は60%削減され、取引先からの問い合わせへの対応速度は2.5倍になりました。どの工程をどの順番で変えたのか、構築の流れの詳細は事例ページで公開していますので、自社の状況と重ねながらご覧ください。

段階導入の手順:上位3社のFAXから小さく始めます

全工程・全取引先を一度にシステム化すると、現場が混乱して定着しません。受注件数の多い取引先から対象を絞り、効果を数字で確認しながら広げるのが定石です。最初の試行は通常業務と並行して小さく行い、うまくいった型を他の取引先へ横展開していきます。次の4つの手順で進めることをおすすめします。

当社は業務アプリ・システム開発を80万円から、AI導入支援を月10万円から承っており、ツールを入れて終わりではなく、現場が使える状態まで整えて伴走します。全国オンラインで対応し、愛知・名古屋のお客様には現場に伺って受注業務の流れを直接拝見することも可能です。まずは自社の受注工程の分解から始めてみてください。

よくある質問

Q取引先にFAXをやめてもらわないと効率化できませんか?

いいえ、取引先の発注方法はそのままで構いません。受注業務のうち取引先が関わるのは受信の工程だけで、転記・在庫確認・出荷指示・請求はすべて社内で完結します。FAXをAI-OCRで読み取り、以降の処理を1つの画面に一元化すれば、取引先に何も依頼せずに工数を大きく減らせます。

QAI-OCRの読み取り精度はどのくらい信用できますか?

手書きや独自レイアウトの注文書では誤読が起こるため、精度100%を前提にしない設計が重要です。受注件数の多い取引先のフォーマットを登録し、読み取り結果を人が確認してから確定する運用にします。作業が「打ち込み」から「確認」に変わるだけでも、転記時間は大幅に短縮できます。

Q費用と期間はどのくらいかかりますか?

対象範囲によりますが、当社の場合、業務アプリ・システム開発は80万円から、AI導入支援は月10万円から承っています。期間は、上位取引先のFAX読み取りの試行で1〜2カ月、受発注全体の一元化まで進める場合は数カ月が目安です。小さく始めて効果を測りながら広げる進め方をおすすめしています。