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契約書チェックはAIでどこまでできる?手順・ツール比較・社内ルール

公開:2026/07/19読了目安 約7分執筆:株式会社UniGain
契約書チェックはAIでどこまでできる?手順・ツール比較・社内ルールのイメージ

契約書チェックにAIを使うと、条項の抜け漏れやリスクの高い表現を数分で洗い出せるが、最終的な法的判断は人が下す必要がある。2023年8月に法務省が示した整理では、事件性のない通常の契約書レビューは弁護士法72条の対象外と扱われる場合が多い。本記事ではAIチェックの実践手順、主要ツールの比較、情報漏洩などの注意点、社内での運用ルールまでを整理する。

契約書チェックにAIを使うとはどういうことか

契約書チェックにAIを使うとは、生成AIやリーガルテック専用のAIリーガルチェックツールに契約書の条文を読み込ませ、不利な条項やリスクが高い表現、抜け漏れの可能性がある項目を短時間で洗い出す作業を指す。担当者が全文を精読する前の一次スクリーニングとして使う運用が中心になる。

対応できる範囲は契約類型によって差が出やすい。秘密保持契約や業務委託契約のような定型性の高い契約書は、条項の抜け漏れチェックや自社ひな形との差分確認との相性がよく、短時間で一次チェックを終えやすい。一方、個別事情が絡む示談書や和解書のような紛争性の高い文書は、AIによる機械的な検出よりも人による背景理解と判断の比重が大きくなる。

契約書チェックにAIを使う狙いは、法務専任の担当者がいない、あるいは兼務で契約書対応をしている中小企業において、確認漏れを減らし、レビューにかかる時間を短縮することにある。人による最終確認そのものを省略するための仕組みではなく、確認の手間を減らすための仕組みである点を、導入前に社内で共有しておく必要がある。

AIツールを選ぶ前に、自社でよく使う契約書の種類を洗い出し、どの契約類型にAIチェックを使うかを絞り込んでおくと、導入後の運用がぶれにくくなる。取り扱うすべての契約書をいきなり対象にしようとすると、かえって確認基準が曖昧になりやすいため、まずは件数の多い定型契約から始めるのが無難である。

契約書チェックをAIに任せるのは弁護士法72条に違反しないのか

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件に関する鑑定その他の法律事務を取り扱うことを禁じる規定である。契約書のレビューを支援するAIサービスがこの規定に触れるかどうかは、長らく明確な基準がなく、グレーゾーンとして扱われてきた経緯がある。

この点について法務省大臣官房司法法制部は2023年8月1日、AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法72条との関係についての整理を公表した。有償であること、対象契約に事件性があること、AIが鑑定に当たる判断を行うことの3条件がすべてそろわない限り違反にはならないとする内容であり、契約書レビュー支援サービスの適法性を判断する際の重要な指針になっている。

通常の商取引で交わされる契約書は当事者間に具体的な紛争や権利義務の疑義がない場合が多く、事件性がないと整理されるケースが中心になる。ただし示談書や和解書のように紛争を前提とする文書は事件性が認められやすく、AIチェックだけで完結させる判断は避けたい。契約の背景に個別の紛争やトラブルが絡む場合は、早い段階で弁護士に相談する選択肢も検討しておくべきである。

AIで契約書をチェックする実践手順

AIによる契約書チェックは、ツールに任せきりにするのではなく、事前準備から人による最終確認までを一連の流れとして設計すると精度が安定する。実際の支援現場でよくあるのは、手順を決めないままツールを導入し、指摘結果の扱い方が担当者ごとに揺れてしまうケースである。

下記の手順を社内の契約書チェックフローにあらかじめ組み込んでおくと、AIの指摘を過信せず、かつ確認漏れも防ぎやすくなる。ツール選定より前にこの流れを担当部署で合意しておくことが、後々の運用を安定させる近道になる。手順自体は特別なものではなく、既存のレビュー業務に一段階を足すイメージで組み立てられる。

手順を明文化しておくと、担当者が変わっても確認の質が落ちにくくなる利点もある。契約書の件数が多い会社ほど、途中で確認基準がぶれやすくなるため、最初の設計に時間をかける価値がある。次の項目では、この流れを準備から保存までの具体的なステップに分けて示す。

主要な契約書チェックAIツールの種類と選び方

契約書チェックに使えるAIは大きく二つのタイプに分けられる。ChatGPTやClaudeのような汎用の生成AIと、契約書レビュー専用に設計されたリーガルテックのAIリーガルチェックツールである。どちらを選ぶかによって、できることと運用の手間が変わってくる。

汎用LLMは導入コストを抑えやすく、社内の他業務と同じ契約の範囲で使い方を工夫しやすい。専用ツールはひな形との差分表示や条項データベースを備える製品が多く、契約書レビューに特化した機能がそろっている。ただし料金体系や対応契約類型は各社で異なるため、導入前に個別の見積もりで確認する必要がある。

自社に合うタイプを選ぶ際は、月間の契約書チェック件数、対応してほしい契約類型、既存の契約管理システムとの連携要否を整理してから比較するとよい。件数が少ないうちは汎用LLMから試し、件数が増えてきた段階で専用ツールを検討する進め方が現実的である。

専用ツールの中には、入力データを追加学習に使わない設定や、社内向けの閉域環境での利用に対応した契約プランを用意している製品もある。機密性の高い契約書を扱う場合は、料金だけでなく、こうしたデータの取り扱い方針も比較項目に加えておくと、後からの見直しを避けやすい。

方式得意領域注意点
汎用LLM(ChatGPT・Claude等)条文の要約、質疑応答形式での確認、社内文書との横断的な相談契約書専用の抜け漏れ検出機能は持たず、機密情報の入力可否を社内ルールで先に定める必要がある
専用リーガルテック(契約書レビュー特化型)ひな形との差分表示、条項データベースを使ったリスク検出、修正履歴の管理料金体系や対応契約類型が製品ごとに異なるため、料金は各社要確認で個別に問い合わせる必要がある

契約書チェックAIを使う際に注意すべきリスク

AIの指摘には誤り、いわゆるハルシネーションが混ざる可能性がある。もっともらしい根拠を示しながら、実際には存在しない判例や条文解釈を提示することがあり、指摘内容をそのまま契約締結の根拠にするのは危険である。最新の法改正への対応が追いついていない場合もあるため、施行日が新しい法令が関わる契約は特に注意したい。

契約書には取引先の商号や取引金額、担当者の個人情報が含まれることが多い。外部のAIサービスに入力する際は、情報漏洩や機密保持契約(NDA)違反につながるリスクを事前に確認する必要がある。学習データへの利用有無や保存期間を、各サービスの利用規約であらかじめ確認しておく運用が欠かせない。

対策としては、契約書チェックに使うAIサービスについて、入力データの学習利用有無、保存期間、アクセス権限の範囲を導入前に確認し、入力してよい文書の種類を社内規定として明文化しておく方法が現実的である。エンタープライズ向けのプランでは、学習除外や利用ログの監査機能を備える場合もある。

中小企業がAIチェックを導入する際の社内ルールと進め方

実際の支援現場でよくあるのは、ツール選定より先に、どの契約書をAIチェックの対象にするか、指摘結果を誰が最終確認するかを決め切れていないケースである。対象契約の範囲と最終確認者をあらかじめ決めておくだけで、運用開始後の混乱はかなり減らせる。

当社UniGainはAI導入支援(月10万円〜)として、契約書チェックを含む社内業務でAIを実際に使える状態まで整える伴走を行っている。契約書チェックの代行や法律判断そのものは行わず、ツール選定や運用ルールの設計、担当者への使い方の定着までを支援する立場である。

他業務での支援では、Excel作業の自動化により月40時間の削減と年間60万円のコスト削減につながった事例もある。契約書チェックに限らず、社内でAIを実際に使える状態まで整えたい場合は、当社の事例ページ(/cases)で具体的な支援内容を紹介している。

よくある質問

Q契約書チェックにAIを使うこと自体は弁護士法72条違反になるか

通常の商取引契約であれば違反にならない場合が多い。法務省が2023年8月に示した整理では、有償性・事件性・鑑定該当性の3条件がすべてそろわない限り弁護士法72条には抵触しないとされている。ただし示談書など紛争性の高い文書は事件性が認められやすいため、AIチェックのみで完結させず専門家への相談を検討したい。

QAIによる契約書チェックで見落としは起きないか

見落としは起こり得るため、一次スクリーニングとして使うのが前提になる。AIは条文の型に沿った抜け漏れ検出は得意だが、個別の取引背景や業界慣行を踏まえた判断は苦手であり、重要度の高い指摘は原文条文と契約の目的に照らして人が確認する運用が欠かせない。

Q契約書チェックAIを選ぶときに何を比較すればよいか

汎用の生成AIを使うか契約書レビュー専用ツールを使うかをまず決め、その上で対応契約類型と料金体系を比較するとよい。専用ツールはひな形との差分表示や条項データベースを備える製品が多いが、料金や対応範囲は各社で異なるため個別の見積もり確認が要る。